グローバル経済を動かす愚かな人々

The Accidental Theorist: And other dispatches from the dismal science

ポール・クルーグマン / 早川書房 / 99/01/31

★★★★

原文が手軽に読めるという意味でチャレンジングな本

 経済学に関するエッセイ集。『クルーグマンの良い経済学悪い経済学』のような反論路線かと思ったら、もう少し普通の啓蒙的な文章が多かった。

 この本にはひとつ興味深い特徴がある。ここに収められた文章は、もっぱらオンライン・マガジンの"Slate"上で、"The Dismal Science"というタイトルのエッセイとして発表されたものなのだが(全部がそうなのかどうかは確認していないのでわからない)、その原稿がクルーグマンのサイトで無料で見られるようになっているのだ。ちなみに"Slate"はMichael Kinsleyが作っている、MSN上の有料サービス。

 これまでは原著を購入しなければならないというバリアがあったが、かなり手軽に訳文と原著の比較ができるようになったいま、翻訳者は恐ろしい試練にさらされることになる。一億総別宮貞徳化である(ちなみに、Slate掲載のクルーグマンの記事のアドレスはhttp://web.mit.edu/krugman/www/#slate)。

 でまあ、少し対照なんぞもやってみたが、いろいろと気になる点はあるにせよ、問題点を指摘するのは趣味が悪いという結論に達した。とりあえず言えることは、このエッセイ集は原文で読んだほうが面白いということだ。しかし、『クルーグマン教授の経済入門』のような文体だと読むのがきつかったので、難しいものである。もちろん結論は「教養ありそうなユーモア」の文体というのは難しい、ということなんだが。

1999/2/5

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