罪の貌

Guilt

ジョン・レスクワ / 東京創元社 / 99/01/29

★★★★★

恐るべき力量

 『引き裂かれた都市』の黒人警官エイブ・グリツキーと弁護士ウェス・ファーレルの両方が出てくるので、このシリーズの1つといっていいだろう。書かれたのは『引き裂かれた都市』の後だが、描かれている時期は『引き裂かれた都市』の事件を挟む形になっている。なんとも凝った構成だ。

 この本は久しぶりに面白すぎて一気読みをした。『引き裂かれた都市』もそうだったが、とにかく先を読ませる力を持っている。しかも、本書には別シリーズのディズマス・ハーディものに通底するリーガル・サスペンスとしての面白さも存分に入っている。

 リーガル・サスペンスに往々に見られる欠点は、法廷技術という意味でのテクニカルなトリックに焦点を当てるあまり、その設定が非常に人工的に見えてしまうということだ。つまり、法廷技術上のトリックを先に考えついたんだろうな、ということが透けて見えるということ。しかし本書は、もっと大きな枠組みの中に、法廷での駆け引きの場面があるという感じになっていて、しかもその駆け引きが物語全体の中でメタな意味を持つ。

 スケールが大きい話なのに尻すぼみという感じがなきにしもあらずの結末だが、全体としては完成形というべきエンタテインメント小説だった。

1999/2/5

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