チョコレートジャンキー

笑ゥえすえむ嬢

水木乱美 / コスモの本 / 99/03/16

★★★★

なかなか凄い

 現役SM嬢がweb上で公開している日記を単行本にしたもの。そのwebサイトはhttp://www.remus.dti.ne.jp/~ramix/

 IQが高く、文才とマーケティング能力のある人が書いた文章。そのことに価値があるという点で、野村證券の内部告発者、大小原公隆の『裏切り』を思い出した。本そのものを著者本人のマーケティング・ツールとして的確に利用しているという点で共通するものを感じる。

 日本における性産業の価格の高さのために、IQの高い女性がこの業界に流入するという危惧を以前から抱いていたが、まあその実例のようなものだ。業界内でIQの高さが差別化要因として働くということもインセンティブとなる。まあ必ずしも「危惧」する必要はなく、「期待」してもいいのかもしれないが、ここの分野で巨額の所得が把握されずにいるということは問題だと思う。

 内容は良いです。本年度の直木賞と芥川賞のどちらよりも高品質。TRCのデータベースには「文学一般・ルポルタージュ」という分類になっているが、それでいいのだろうか。

 なお、上記のwebサイトを見ると、すでに疲労を始めているような印象を受けた。普通の作家であれば10年くらいかけてゆっくりと摩滅していくプロセスを、半年ぐらいで辿ってしまったという感じがある。作家はエッセイなどの雑文を書くことで徐々に疲弊していくが、web日記はそれを猛烈なスピードでやるのだ、ということに気づいた。著者が1年以内にどこかのメディアで「人生相談」をやるというのに1万円賭ける。

1999/3/28

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