「経済政策」はこれでよいか

げんだいけいざいときんゆうきき

伊東光晴 / 岩波書店 / 99/02/10

★★★

現実の問題に対する経済学者の発言

 著者はいわゆるエコノミストとは違って、普通の経済学者であり、普通の経済学者が世の中に対してちゃんとした発言をしていないということに苛立ち、その状況を批判し、発言をしようとしているという点では『間違いだらけの経済論』などの野口旭と似ているのだが、こちらの伊東光晴はさらに新古典派的な立場を取る経済学者をも批判の対象としている。

 ではどうすればいいのかというと、ケインジアン的な立場から「個々の状況に即して考えましょう」ということになり、場当たり的な印象が否めず、一貫性が感じられない本になっているわけだけど、まともなものを書こうと思ったらこうならざるをえないのだろう。こうして事態は一巡して、けっこう「常識的」な内容になるわけだ。

 個々の主張が正しいのかどうかがわからない、という点では、他の諸々の経済本と同じ。その理由が少しわかった気がする。どうも、どの本も戦闘的なのだ。中立的な立場からのレビュー、という感じの本になかなか出あえない。

1999/8/22

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