変節の人

かつての同志が告発する青島幸男の正体

矢崎泰久 / 飛鳥新社 / 97/05/14

★★

醜い本

 副題は「かつての同志が告発する青島幸男の正体」。著者はかつて革新自由連合で青島幸男と一緒に活動をしていた人物で、いまでは潰れた『話の特集』の編集をしていた。

 この本は基本的に、東京都知事にまでなってしまった青島幸男の悪口を言う本で、かつての仲間が仲間割れしたときほど敵意が強くなることはない、という仮説の実例のようなもの。これほどの悪意が充満している本は珍しく、それだけでも価値があるといえなくもないが、それと同時に非常に醜い、あさましい本である。

 言い切ってしまうと、青島と矢崎は同じ穴の狢であり、当人は互いに微妙な違いを見いだしているかもしれないが、傍から見ればおんなじだ。この本に登場してくる人物はみんな同じで、すでに1980年代には存在意義を失っていた文化人たちである。その残余物が、かたや東京都知事になり、かたや経営していた出版社が潰れるという悲劇を迎えたわけだが、そういう対照の妙を楽しむという意味すら見いだせないほど、この人々の意味は終わって久しい。

 著者の矢崎氏ができたかもしれない正しい行いは、この本を、青島氏が都知事に立候補する前に書いて、その政治生命を徹底的に潰しておくことだった。これができていれば、まだこの仲間割れには救いがあっただろう。

1998/4/13

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