強くて淋しい男たち

永沢光雄 / 筑摩書房 / 99/02/25

★★★★

私小説

 『AV女優』、『AV女優2 おんなのこ』の著者による、スポーツ選手を対象としたインタビュー集。基本的にインタビュー相手がAV女優からスポーツ選手になっただけだが、時期としては執筆活動のごく初期の段階からこれらのインタビューも行っていたらしい。

 大部分が『おとなの特選街』と『毎日中学生新聞』に掲載された文章と書き下ろしの文章から構成されている。この本の一番凄いところは、『おとなの特選街』と『毎日中学生新聞』の文章が並んでしまっていることなんだけれども、後の方で、両方とも担当編集者が友達だったということに過ぎないことが判明して少し興醒めであった。でもまあ、この2誌とも、こんな文章が載っているというのはあなどれない。

 ようやく思い出したが、関川夏央の1990年代版ですね。永沢が今後どういう道を辿るのか興味深い。あまり期待はしていないけれども。でも関川夏央の初期のエッセイが素晴らしかったということはまぎれもない事実なので。

 取り上げられる人/団体は、上田勝次(キックボクシング)、輪島功一(ボクシング)、金村義明(プロ野球)、滝沢正光(競輪)、佐山聡(プロレス)、佐竹雅昭(空手)、坂元勉(競輪)、高橋慶彦(プロ野球)、愛甲猛(プロ野球)、平仲明信(ボクシング)、渕正信(プロレス)、木村健悟(プロレス)、葛西裕一(ボクシング)、宇野勝(プロ野球)、江口九州男(ボクシング)、桑田勇(ボクシング)、タイガー服部(プロレス)、竹田光訓(プロ野球)、パンチ佐藤(プロ野球)、みちのくプロレス(プロレス)、IWAジャパン(プロレス)、ドッグレッグス(プロレス)。

 インタビュー相手が誰であろうと要するに私小説なんだけれども、相手が女性ではなく男性であるという点で微妙にベクトルが違ってきている。で、こっちの方が気恥ずかしいですね。AV女優を相手にしているときの微妙な距離の取り方は、他にあまり見たことのない緊張感を醸し出すのだけれども、こっちの方はいってみれば古典的/通俗的。逆に『AV女優』の凄さがわかったといえるか。

 ちなみにインタビューで一番良かったのはボクシングのトレーナーの桑田勇と、プロレスのレフリーのタイガー服部。あと、プロ野球のパンチ佐藤。この3人は、通俗的な距離を取りにくい相手だったようです。あと余分な解説や後日談がなかったのもよかったのかも。

1999/9/2

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