経済白書物語

岸宣仁 / 文藝春秋 / 99/06/20

★★★★

面白い内容

 1回目の『経済白書』から最新の『経済白書』までを軸にして、戦後日本の経済を振り返り、個々の白書を執筆した官庁エコノミストの振る舞いを細かく描いた本。思えば『経済白書』というものが尊重されていた時代もあったのだが、途中から各官庁の顔色を伺わなくてはならなくなり、また特に金融業界の比重が大きくなった近年には、大蔵省主計局の力が強くなりすぎたために、『経済白書』の信用は完全に失墜した。

 官僚の英雄物語である。著者は読売新聞社の記者出身で、大蔵省を中心とした官庁付き記者だったようだ。本人がどっぷりとその世界に浸かっているという様子が見えて、どうにも気に食わない。しかし、こういう人でないと、これほど細かい取材はできないのだろうから厄介なものだ。なんとかならないものだろうか。

 この本を読むと、著者の意図とは反対に、堺屋太一を断固応援したいと思ってしまう。彼がどれだけ未来を見据える力がなかろうと、これらの官僚よりはましである、という気持ちになる。

1999/9/8

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ