流出

Charlie's Chance

ブライアン・フリーマントル / 新潮社 / 99/09/01

★★★★★

相変わらず見事

 チャーリー・マフィン・シリーズ10作目。ロシアの警察の腐敗、マフィアの横行、核燃料の流出といったコンテンポラリーな問題を扱っている。この作品では、チャーリーはモスクワに行き、ロシア内務省で働くナターリヤ・フェドーワと再会する。新シリーズの『猟鬼』とネタの使いまわしをしているんではないかと思える部分もあるが、純粋なスパイ小説としての面白さが十分に詰まっている。

 前作の『報復』も非常に面白かったが、この『流出』もとてもよい。『猟鬼』の項で「今後の展開によっては、チャーリー・マフィン・シリーズのようなユーモアの遊びがない部分、さらに面白いシリーズになるかもしれないと予感させる」などと書いてしまったが、やっぱりチャーリー・マフィン・シリーズは楽しくて面白い。これだけ長期にわたって安定して面白く、なおかつ次々に新しいトピックにチャレンジしているというのは並み大抵のことではないと思う。

 最後の方でご都合主義と思えるところが数ヶ所あったが(しかし普通に言われるようなご都合主義ではなく、このシリーズの奇妙なひねりを活かすためのご都合主義であるので、気づかれにくいかもしれない)、堂々たる一級品だった。

1999/9/8

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