黄禍論とは何か

Die gelbe Gefahr

ハインツ・ゴルヴィツァー / 草思社 / 99/08/25

★★★★★

素晴らしい掘り出し物

 著者はドイツ人の近・現代史家。この本は37年前に書かれたものだが、訳者が発掘して翻訳出版されることになった。書いた人も訳した人も出版した会社も偉い。草思社の最近の出版活動は硬軟取り混ぜてほんとうに見事だと思う。

 この本は帝国主義の時代における黄禍論を論じた本だが、「帝国主義の時代」としては1870年代から第一次世界大戦までをとり、イギリス、アメリカ、ロシア、フランス、およびドイツという国別に、黄禍論がどのように発生し、理解されたのかを、当時のさまざまな発言や書籍からの引用をもとに描いている。一読して思うのは、この黄禍論の形も受け止められ方も社会への影響もほんとにまちまちだということだ。

 改めて思ったのは、1980年代以降の日本とアジアの経済的な成功に対する西洋の(特にアメリカの)否定的な反応は、まったくもって黄禍論の再来だったということである。

1999/9/14

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