コンクリートが危ない

小林一輔 / 岩波書店 / 99/05/20

★★★★

高度経済成長期以降のコンクリート構造物の問題点を指摘する

 高度経済成長期以降につくられたコンクリート構造物の欠陥を指摘する本。なかなか専門的な内容で、わかりにくい。欠陥コンクリートが生じる理由はいろいろとあるようだ、という漠然とした印象が残った。これらの問題がこれまであまり大きく取り上げられてこなかったのは、コンクリート構造物を扱う人々に化学畑の知識が不足していたから、ということらしい。

 おおざっぱにまとめると、(1) 骨材資源の不足、(2) 欠陥セメント、(3) 手抜き工事、ということになる。いずれも、高度経済成長期以降に(特に民間での)需要が大量に発生したことが根本的な原因となっており、これに業界の硬直的な構造が加わって、欠陥建築物が大量に発生した。本書を読んだ限りでは、既存の欠陥構造物がいっせいに崩れ始める日が来るのを避けることはできないし、今後の話についても、これらの問題が改善に向かうという見込みはまったくないといってよさそうだ。かなり絶望的な状況である。

 付録の「分譲マンションへの対策」は、自らマンション住まいをしてきた著者が、分譲マンションを選ぶときの心得を記しているもので、非常に興味深い。どうやら20階以上の超高層マンションを選ぶのが一番賢いようなのだが、それ以上に、著者の専門分野とはまったく関係のない生活の知恵みたいな話(マンションの住民が利用できる集会所があった方がいい、など)に重点が置かれていることが面白かった。

1999/9/27

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