中華人民共和国

国分良成 / 筑摩書房 / 99/09/20

★★★

中国についての解説書

 1999年10月は中華人民共和国成立50周年にあたり、10/1には式典の模様が全世界にTV中継された。本書はこの中華人民共和国についての解説書。著者は中国と東アジアを専門とする政治学者。196ページのあとがきより引用。

一、中国は表と裏の世界があり、単純に表面的なことばの世界だけを見ていても理解できない。中国は表面的には原則を掲げてメンツを守ろうとするが、実際の行動の場ではきわめて現実主義的である。
ニ、それを前提に中国の内部世界を分析すると、いまや社会主義の顔から発展途上国の顔へ移り、さらにそれゆえに歴史の顔をあらわにしている。これにより中国本来の姿がそこかしこに出てきており、内部圧力の本質的強さがうかがえる。
三、しかし中国はいまや「世界のなかの中国」でもある。「中国的特色」を言いながらも、現実の対外行動はきわめて世界システムに受動的であり、「ガイアツ」を利用することで内部変革を促しているともいえる。
四、このような内部圧力(タテ軸)と外部圧力(ヨコ軸)の座標軸のなかで、どの地点に中国は位置しているのか。この両者を融合しつつ、中国を軟着陸させるにはどうしたらよいのか。その問題を究極的に詰めると、結局、最後は政治の問題に帰結する。

 最後の「政治の問題に帰結する」というのは、共産党のもとで連邦制の導入などの政治改革を行うべきだ、というような意味である。

 本書は新書であるにもかかわらず広いテーマを扱っていて、散漫な印象を与える。その散漫さは中国という国の現実の反映である、というふうに言いたいのだろうと思うが。著者の他の本を読んでみたいと思った。

1999/10/2

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