高校が崩壊する

喜入克 / 草思社 / 99/10/01

★★★

素朴であるだけに参考になる

 著者は「プロ教師の会」の会員。都立高校の国語教員である。

 「プロ教師の会」的な立場から、教育の現状を解説している。この著者は『学校崩壊』の河上亮一や、私がこの会の活動に関心を抱くきっかけとなった諏訪哲二ほどには「理論家」ではないようで、あちこちでガードが甘いのだが、そのためにかえって、「プロ教師の会」の理論と論理がふつうの教員にどのように受容されているかということのケース・スタディとして読むことができた。

 特にあとがきに書かれていることは興味深い。著者は、デパートで駄々をこねる幼い子供を母親がどのようにしてコントロールするかという問題を設定して、それに対処するための「常識的な生活者の知恵」は多くの母親が持っているのだと述べる。そして、論旨は明確ではないけれども、学校の教員にもそのような「常識的な生活者の知恵」を行使する権限を与えるべきだと主張しているように見える。たとえば、本文中でも何度も出てくる、服装や規律の乱れを取り締まろうとする教員は、まさにこの「常識的な生活者の知恵」を行使しているのだ、と言いたいようだ。そのことは著者が「高校生らしさ」という言葉を何度となく(肯定的な意で)使っていることにも現れている。

 冷めた言い方ではあるけれども、公立の学校には、このような「高校生らしさ」に関して保守的な教員がいた方が望ましい。負け戦になることはわかっているので、当人たちにとっては悲惨なことだろうけれども。

1999/10/2

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ