狩りのとき

Time to Hunt

スティーヴン・ハンター / 扶桑社 / 99/09/30

★★★★★

力強い小説

 『極大射程』『ブラック・ライト』のスワガー・シリーズの4作目。ベトナムで海兵隊員として戦っていたボブ・スワガーの過去が現在とリンクする。

 このシリーズは、傍流の『ダーティホワイトボーイズ』が面白く、その他の本流の2作はどちらかといえば平凡なヒーローものだったのだが、本書『狩りのとき』は飛び抜けてよくできている。特に過去の事件が現在とリンクする、そのリンクのしかたがよく考えられている。『極大射程』のときに感じた、現代社会におけるスナイパーの活躍の余地のなさという問題も、この本ではとてもうまく解決されているように思う。これは、スワガーを追ってくるロシア人スナイパーについても、スワガー自身についても言える。

 そもそもこれまでのシリーズの一番大きな謎は、スワガーという人がなぜこんな変な人になってしまったのかということだった。この『狩りのとき』は、ベトナム戦争でのスワガーの活躍を描くことによって、その謎の中核に迫るという非常に重要な役割を与えられた本であり、これが失敗するとシリーズ全体の基盤が揺るいでしまう。これに正面から取り組んで、これだけの本を書いてしまったスティーヴン・ハンターに心からの讃辞を贈りたい。『地上50m/mの迎撃』の方が良いなんて、まったく失礼な発言であった。

1999/10/2

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