やっぱり韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由

百瀬格 / 文藝春秋 / 99/06/30

★★★

日本人が韓国で出版した奇怪な本

 1998年に韓国で出版された本を日本語に訳したもの。『韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由』の続篇で、原題は「韓国がそれでも日本に追いつける18の理由」という意味だったそうである。

 著者は総合商社トーメンの韓国トーメン会長。商社マンとして韓国の特に鉄鋼業の発展に大きく貢献した人らしく、すでに30年近く韓国に住んでいるという。その経験をもとに、韓国を愛する日本人として、韓国人にあえて苦言を呈するという趣旨の本で、韓国ではよく売れたらしい。

 ところが、この著者はまさに日本の高度成長を担ってきたという感じの猛烈サラリーマンで、韓国人に対して「日本株式会社」ならぬ「韓国株式会社」になれと説いているのだ。ここには、政府主導の護送船団方式、企業間カルテル、下請け構造、労使協調、長時間労働などなど、日本でいま批判されているありとあらゆる企業習慣が良いものとして肯定され、著者は韓国人もこのような企業習慣を身につけないと経済成長ができないぞと叱咤激励するのである。読んでいて目眩いがした。

 これは21世紀の国際社会のなかでの韓国の国際競争力を落とすためのまわりくどい陰謀なのか、と疑ってしまう、というのはウソで、著者はこうしたことを本気で信じているのだ。こういう人が商社の偉い人になっているのだとしたら、恐ろしいことである。ただし、この人は韓国生活が長かったため、日本がいまどのようになっているのかを知らない浦島太郎状態なのかもしれない。

 さらに恐ろしいのは、この本がどうやら韓国で好評だったらしいということで、たしかに韓国生活が長い人だけあって、韓国人のプライドをうまくくすぐるテクニックを身に着けているような感じがした。まとめると、この人は日本版ビル・トッテンである。

1999/10/11

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