戦略の条件

激変する極東の軍事情勢

田岡俊次 / 悠飛社 / 94/07/05

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 AERAの記者で朝日新聞編集委員の著者が、極東の軍事情勢について書いた本。1994年に書かれたものであり、1999年のいまから見るとこの5年間での世界の変動ぶりに驚くが(たとえば、アメリカはまだ巨大な財政赤字に悩んでいた)、内容は非常に面白く、いまでも読む価値は十分にあると思う。著者はあまり単行本を出していないようだが、もっと書いてほしい。

 著者の基本的な立場は、極東の軍事情勢を分析するにあたって、アメリカ発の数値や評価を鵜呑みにするのではなく、独自の分析を行うべきだという点に集約されるといってよい。この姿勢から、冷戦下のソ連の軍事力が過大評価されていたのと同じように、現在のロシア、中国、そして北朝鮮の軍事力は一様に過大評価されている、と著者は述べる。

 しかし、このような視点から、日本がどのような態度をとるべきかという結論はなかなか見えてこない。なにか、アメリカの極東軍事戦略の微調整を果てしなく行うということになりかねない感じがする。結局のところ、今後の日本がとるべき態度が、アメリカが安保を含む日米同盟に対してどのような態度をとるかによって根本的に依存してしまうことは間違いない。したがって、日本が行える最も効果的な戦略は、アメリカに対する外交戦略である、ということになる。

1999/10/11

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