現代ロックの基礎知識

鈴木あかね / ロッキング・オン / 99/07/09

★★★★★

ロックから社会を照射する面白い本

 『ロッキング・オン』に「ロック広辞苑」というタイトルで連載されていたものに加筆してまとめたもの。「ロックの読み解き方」を指南するという趣向だが、ここで言うロックはほとんどブリティッシュ・ロックの意味である。

 個々の章が1つのトピックを扱っている。取り上げられているのは、失業、うつ病、ドラッグ、階級、フェスティヴァル、ゲイ、ファッション、チャリティー、ツアー、女、「ロックは儲かるのか」、アイルランドで、最後に「90年代の闇」として、英国を中心とするヨーロッパのレイヴのムーヴメントと、アメリカのヘロイン流行を対比させている。どのトピックもちゃんとしたリサーチに裏づけられていて、読み応えがある。

 この本は、ロックのことは知っているが、上記のトピックについてはあまり知らないというロック少年少女を対象に書かれたものなので、普通に考えられる本とは逆のロジックをたどる。たとえば「階級」を論じているところでは、「英国では階級意識が強い。アッパーミドルからはRadioheadが、労働者階級の高踏派からはSuedeが、普通の労働者階級からはOasisといったバンドが出ている」というロジックをたどるのではなく、「Radiohead、Suede、Oasisってああいう感じじゃない。実はこれは英国の階級構造をそれぞれ反映しているんだよ」という流れになる。そのためブリティッシュ・ロックに関する知識がそこそこないと読めない本になっている。

 非常に楽しんで読むことができたのだが、個人的には、ロックのこのような語り口はやっぱりよくないと思っている。

1999/10/18

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