北朝鮮と永久分断せよ

池萬元 / 徳間書店 / 99/08/31

★★★★★

韓国の軍事評論家によるきわめて戦略的な統一論

 著者は韓国の軍事評論家。米国海軍大学大学院で博士号を取得しているので、ある種のエリートだと思われる。この人の主張している論理が韓国国内でどれほど受け入れられているのかは知らないが、本の中の記述から、あまりマジョリティではないことが推測できる。

 韓国で主流となっている北朝鮮との統一論は、かえって北朝鮮を警戒させることになるのでよくない。北と南を2つの国家として完全に「分断」し、軍事境界線を正常な国境に戻し、信頼関係の醸成と軍縮を同時に進めるという戦略の方が、かえって統一への近道である。また、アメリカの極東における関心は南北の緊張関係を持続させることにあるのだから、アメリカの方針に盲目的に従うのではなく、独自の外交路線をとらなくてはならない。まあこのようなリアリスティックな戦略論を唱え、「平和統一」を民族主義的な論理として批判している。非常に説得力のある議論のように思った。

 軍縮反対論には、日本の軍事力に対する危機感が強くあるのだが、これについては著者は次のように論じている(110ページ)。現在の韓国と北朝鮮の軍事力はもっぱら朝鮮半島内で起こる戦争を想定して作られている。またどちらの軍隊も前近代的な要素を残している。北朝鮮の兵力は110万人、韓国の兵力は70万人だが、これを双方とも「相手側を安心させることができる」ていどの10万人強まで一気に削減し、近代化をはかる。これで統一後の兵力は20〜30万人になるので、あとは朝鮮半島全体を周辺諸国から守るという目標に沿って、必要に応じて軍事力を増強していけばよい。

1999/10/25

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