日出づる国の「奴隷野球」

憎まれた代理人 団野村の闘い

ロバート・ホワイティング / 文藝春秋 / 99/11/10

★★★

まあ別に

 スポーツ・エージェントの団野村の活動を中心に、日本とアメリカの野球ビジネスの違いを描く本。一方的に団野村の側、またアメリカ的なスポーツ・エージェントの側に立って書かれている本で、全体的に浅薄な印象を与える。

 本書を読む限り、団野村のやっていることはスポーツ・エージェントとしてごく当たり前のことだが、このような仕組みはアメリカでもごく最近になって発達してきたものだということを忘れてはならない。最近も同じようなことを『アメリカ司法戦略』の項でも書いたが、スポーツ・エージェントの方がさらに歴史が浅い。このことは、MLBではなくNBAの話だが、ハルバースタムの『勝負の分かれ目』『ジョーダン』を続けて読むとよくわかるだろう。そして、このような仕組みが定着したのは、TV放映全盛時代になってアメリカのスポーツ・ビジネスの規模が大幅に拡大したからであり、その逆の因果関係が働いたわけではない。もちろん日本の野球界において、選手が高いサラリーや好条件を要求することが圧力となって、野球チームの経営者たちがより利益追求指向になるという道筋が考えられるかもしれないけれども。

 そしてもちろん選手のサラリーの高騰にはさまざまな弊害があるし、スポーツ・ビジネスの規模の拡大も手放しで喜べる状況ではない。それは究極的には、少年たちがゲータレードを飲み、ナイキを履くということに支えられている。

 まあこの話をあまり本気になって考える気がしないのは、「自由競争が阻まれている業界の競争力低下」が、この場合、日本人野球選手の力の低下とか、日本の野球ビジネスの停滞という形でしか現れないからだ。そもそも私は日本野球に関心がないので、どうなろうとかまわないのである。もちろん高校野球大会はやめた方がいいと思うが。

1999/11/19

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