これからの出版業界のすべてがわかる本

能勢仁 / 山下出版 / 98/03/10

★★★

データとしてあまり役に立たなかった

 出版関係の本を探す過程で、オンライン書店でタイトルを見て注文したのだが、外れだった。出版業界の出版社、取次、書店などのビジネスの仕組みの概要を記している本だが、時系列的なデータが少ないので、何らかのトレンドを探し出すのに使うことはできない。戦後50年の出版業界のトピックが年度ごとにまとめられている章は、何かのリファレンスには使えるかもしれない。

 おそらく書店でこの本を手に取っていたら、買わなかっただろう(あくまでも私は。この本が多いに役立つ人はたくさんいるだろう)。このことから2つの仮説が導き出せる。1) オンライン書店が発展すると、その本を買うべきかどうか助言するサービスが発展する。または、2) そのようなサービスは決して充実しないので、(消費者の側から見れば)無駄な購買が増え、出版業界は潤う。まあこの2つの状況は両立するかもしれない。

 しかし、この種の実用書の業界はすでに後者の状態に達しているのかもしれない。たとえばPCアプリケーションの解説書のマーケット。「完璧な解説書」が出てしまうと、読者はそれだけを買って済ませるので、マーケットは広がらない。内容が不完全なもの、わかりにくいものがたくさん出ており、本の第三者的な格付け機関が存在していなければ、読者は同じアプリケーションに関する解説書を何冊も買うことになり、マーケットが広がる。

1999/11/19

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