ゼロの誘い

Down in the Zero

アンドリュー・ヴァックス / 早川書房 / 99/11/15

★★★

マンネリ

 アンドリュー・ヴァックスのバーク・シリーズの、1994年に出版された「第2期」の1作目。1996年に出た単行本が文庫化されたもの。

 このシリーズは、この『ゼロの誘い』の1つ前のシリーズ6冊目『サクリファイス』で読むのをやめていた。バーク・シリーズは、1作目の『フラッド』と2作目の『赤毛のストレーガ』の頃はたしかに衝撃的で、それまであまり見たことのない人物像と、バークが都会で生き抜くために身に着けた偏執狂的ともいえる行動指針が新鮮だった。残念ながら、それらは急速に類型化し、ヴァックスが幼児虐待という問題に関してクルセーダー的な熱意を持っているらしいということにかろうじて共感しながらでないと読むのがつらくなっていった。ちなみにそういう共感を抱かせる要素もないまま、陳腐化して久しい題材や心情をコピーしたのが、とある日本人作家(名前を忘れた)の『不夜城』という小説だった。

 この『ゼロの誘い』で久しぶりにバーク・シリーズを読んだのだが、やはりしんどい。出てくる人物や事件はすでに読んだような感じがするものばかりだし、それを読んで楽しいかというとそういうわけでもない。幼児虐待が大嫌いなはずのヴァックスだが、本人の書く小説がチャイルド・ポルノの代用品(というかそれそのもの)として読まれているんじゃないかという不安もある。実際、これは深刻な話なんだが、詳しく解説しようとすると気が重くなるのでやめておく。

1999/11/26

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