エンディミオンの覚醒

The Rise of Endymion

ダン・シモンズ / 早川書房 / 99/11/30

★★★★★

まあ楽しんで読むことができた

 『ハイペリオン』、『ハイペリオンの没落』、『エンディミオン』に続くハイペリオン・シリーズの完結編。完結編なので、いろいろな謎が解き明かされなくてはならないという強迫観念が物語を邪魔している感があるけれども、まあこれは仕方がないだろう。読みながら、これまでに出てきたエピソードの(かなりぼやけてきている)記憶が呼び起こされて、まあそれなりに感動を新たにすることができた。しかしいざこうやって完結してみると、すべてのエッセンスが詰まっていた第1作の『ハイペリオン』がやはり一番良かった。シュライクを初めとするさまざまな登場人物が、回を追うにつれその新鮮さを失っていったことは間違いないと思う(特にシュライクが神出鬼没のヒーローになったのは幻滅)。

 エンディミオンの物語がこうやって終わったいま、これは「わがままな思わせぶりの女の子に振り回される気弱な男の子」という少女マンガみたいなプロットであるということがわかってしまった。『ハイペリオン』のハードなセンチメントが印象的だったことを思うと、これはずいぶんと思い切った展開だともいえるし、こんな話じゃストーリー全体を支えきれないともいえる。だいたいエンディミオンがこれほど長大な物語を書けたのは、アイネイアーがいつまで経っても「それは、ひ・み・つ」というような感じでまっとうなことを言わないからであり、いちおう本書の終わりの方では、それもまたエンディミオンにこの長大な物語を書かせるための予定された振る舞いだったんだみたいな言い訳がつくけれども、それはちょっと無理がある、ということは、そういう言い訳をつけたダン・シモンズ自身がわかっていることなんだろう。

 「謎解き」のなかには、「あ〜あ」という感じのものが多い。エンディミオンがあちこちの世界を旅して回らなければならなかった理由、シュライクの正体、アイネイアーの空白の期間、アイネイアーの予定された運命、A・ベティックの役割、『ハイペリオン』で登場したさまざまな登場人物たちの持たされた役割などは、「謎解き」のせいでずいぶんと安っぽく感じられるようになった。これは思うに、ストーリー全体が予定調和的・合目的的なものになっているからなんだろう。そのせいで、個々のエピソードに重みがなくなる。それを言えばエンディミオンの冒険全体がそうなのだが。

1999/12/2

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