なぜアガサ・クリスティーは失踪したのか?

七十年後に明かされた真実

Agatha Christie and the Eleven Missing Days

ジャレッド・ケイド / 早川書房 / 99/11/30

★★

どうにも判断に困る本

 1926年に起こったアガサ・クリスティーの失踪事件の謎の解明を中心に、彼女の生涯を描いたノンフィクション。クリスティーとその周囲の人々は、プライバシー一般に関して、また特にこの失踪事件に関しては非常に口が重かったため、クリスティーが1926年の11日間、なぜどのように行方をくらませたのかということは大きな謎とされてきた。

 帯に「クリスティーの知られざる内面に踏み込んだ衝撃のノンフィクション」とある本書は、誰も知るはずがないクリスティーの内面にずけずけと踏み込んでいるという点で衝撃を与える本ではある。周囲にいた人々から彼女の様子を聞き出していろいろと推測したものだと思われるが、まあ要するに実在の人物を題材にしたノンフィクションとしての体裁を保っていない。なおクリスティー研究家でもある翻訳者の中村妙子も、本書にいろいろと不満を抱いているようで、煮えきらない訳者あとがきを書いている。

 ちなみに1979年の『アガサ/愛の失踪事件』("Agatha")は、この事件を題材にした映画で、当時まだ新人だったマイケル・アプテッドが監督していた(ちなみにその次が1980年の『歌え! ロレッタ愛のために』。これはカントリー歌手ロレッタ・リンの伝記映画で、シシー・スペイセクが主演だった。1988年の『愛は霧のかなたに』は、ゴリラ学者のダイアン・フォッシーの伝記映画で、シガーニー・ウィーヴァーが主演)。キャサリン・タイナン原作。ヴァネッサ・レッドグレーブがアガサ・クリスティーを演じていた。

1999/12/9

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