悪魔の遺伝子

Threshold

ベン・メズリック / 早川書房 / 99/03/31

だめな医学ミステリの典型

 これは著者のデビュー作。謎めいた遺伝子研究所をめぐる医学ミステリ。

 医学ミステリが面白かった時代がかつてあった。マイケル・クライトンの『緊急の場合は』とか、ロビン・クックのごく初期の頃である。しかしいまでは、早川書房で「医学ミステリ」と銘打って出版される本はまずダメだ。ナイーブな主人公と科学/医学観、使い古されたプロット、愚かで平板な悪者、陳腐な結末といった致命的な要素が揃って登場する確率が高すぎるのだ。リーガル・サスペンスの方に流行が移り、医学ミステリという分野が進歩から取り残されたということなのかもしれない。この本もまさにそんな感じ。

 ちなみに、この読書メモではF・ポール・ウィルソンの『密閉病室』とマイクル・パーマーの『有毒地帯』がこの分野に属する。ロビン・クックはもう新作を読む気にもならない。

1999/12/13

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