Mallory's Oracle

Mallory's Oracle

キャロル・オコンネル / Jove Books / 94/01/01

★★★

うーむ普通のミステリ

 『クリスマスに少女は還る』のキャロル・オコンネルのデビュー作。Kathy MalloryというNYPDの女性警察官を主人公とするシリーズの1作目である。『マロリーの神託』というタイトルで邦訳がある。

 『クリスマスに少女は還る』は面白かったのだが、どこかバランスの崩れているものがきわどいところで成り立っているという感じが気になったので、この処女作を読んでみた。その感想は、うーむ、『クリスマスに少女は還る』でかろうじて成功していたものがまだ形になっていないというものだった。

 主人公のマロリーは、幼い頃、路上生活者の盗人だったところを、補導した警察官の家に引き取られて20代半ばにまで成長した警察官。「盗みが悪いことだ」という普通の善悪の観念を持ち合わせておらず、一般的な意味でのサイコパスにきわめて近い美しい女性で、コンピュータの扱いに長けており、したがって、コンピュータ・システムに侵入して他人のプライバシーを侵害することにまったく躊躇しないという厄介者である。こういうやたら変な設定は、『クリスマスに少女は還る』の中心的な登場人物であるルージュ・ケンダルのそれに似ている。その他、老人たちのサークル(本書では老婦人たちが交霊会を開いている)、顔の半分を切られて麻痺している女性(本書では容疑者の一人)、精神的に引きこもりがちな男などなど、『クリスマスに少女は還る』に出てきた要素が、あの本ほど整理されずに出てくる。

 ミステリ小説としての手法や趣向があまり洗練されていないかわりに、人物描写が女流文学者風にしつこいという点も共通していて、どちらかといえば読むのがしんどい本だった。もう少し読んでみる予定。

 キャロル・オコンネルの著作リスト

 Mallory's Oracle (1994) 『マロリーの神託』

 The Man Who Cast Two Shadows (1995) 『二つの影』

 Killing Critics (1996)

 Stone Angel (1997)

 Judas Child (1998) 『クリスマスに少女は還る』

 Shell Game (1999)

1999/12/20

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