周辺事態

日米「新ガイドライン」の虚実

野田峯雄 / 第三書館 / 98/09/30

★★★★

熱い本ではあるが焦点が絞りきれていないか

 著者は大韓航空機事件を扱った『破壊工作』と『北朝鮮に消えた女』を書いた人。本書は日米同盟をめぐるさまざまなトピックを章ごとに扱っている小論集で、範囲が広いだけにちょっと焦点がぼやけている気がしないでもなかった。各種の問題を一覧するには便利だが、立場は非常に偏っている。

 大きく分けて、基地問題(かなり包括的)、北朝鮮問題(『破壊工作』以来のモチーフで、さまざまな「北朝鮮問題」は韓国側の演出であるかもしれないという立場。スーパーK事件という比較的新しいトピックもある)、従軍慰安婦問題(国家による補償でないという立場からアジア女性基金を批判する立場)がある。

 基地問題については、『駐韓米軍犯罪白書』が興味深かった。本書に出てくるのはほとんどが日本の事例だが、韓国の話も少しだけ扱っている。

 スーパーKについては、宮崎学のサイトに宇崎喜代美のレポートがリアルタイムに掲載されていて面白かった。偽札に奇怪な指紋がついている下りなどは抱腹絶倒で、国際謀略小説が好きな人は必見。

 従軍慰安婦問題については、いまのところ秦郁彦の『慰安婦と戦場の性』が網羅的で良い。もちろん本書の著者とは対立する立場である。

 なお、著者の野田峯雄の態度は非常に好きなんだけれども、もう少し冷静な文体の方が好みだ。これだとニュートラルな立場にいる読者を多数逃しそう。

1999/12/29

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