大企業解体

株式会社が変わる

奥村宏 / ダイヤモンド社 / 99/11/11

★★★★★

著者のテーマである「法人資本主義」の概念に沿った議論

 著者は従来から、日本の資本主義は「法人資本主義」であると唱えて批判してきていたが、ここに来て日本の資本主義は徐々に変質しつつあるように思われる。本書はそのような状況を踏まえて書かれている本だが、大筋ではあんまり変わっていない。

 なお興味深かったのは、「グローバリズム」という言葉に代表されるような新しい経済学者の主張に対する反動として、マルクス主義経済学者に分類されるような人々が、新しい波に対する反論の一環として、戦後日本の資本主義を擁護するような議論をするようになっているという批判だった。私はそちらの方の議論にあまり詳しくないのでよくわからないのだが、そういうこともありうるだろうなと思えて笑える。

 著者はといえば、「法人資本主義」でもなく、アメリカ型の「機関投資家資本主義」でもなく、従業員参加型の企業活動に進むべきだと言い、株式会社という形態の終焉ということまで示唆している。しかしこれはあまりにも先見の明がありすぎるというか、かなり先の話なんじゃないかなぁと。奥村宏の本を読んだことがない人には、アップ・トゥ・デートな内容なのでお勧めである。

2000/2/6

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