マンション

安全と保全のために

小林一輔、藤木良明 / 岩波書店 / 00/02/18

★★★★

マンション居住者のための実用的なマニュアル

 私はマンションを購入する予定などまったくないのだが、著者の片方が『コンクリートが危ない』の小林一輔だったので興味をひかれて買ってみた。『コンクリートが危ない』の項でも書いたが、あの本はコンクリート工学を専門とする著者が、コンクリートの劣化について書いているかなりハードボイルドな本であるにもかかわらず、末尾の付録にやたら生活に密着した話が入っていて面白かった。本書のあとがきによると、著者2人は次のような経歴を持っているという。

小林(1〜4章執筆)は、三〇年におよぶ複数のマンション住まいのあいだに、何度か管理組合理事長を経験し、そのつど管理費や修繕積立金の値上げ、管理規約の改正や見直し、大規模修繕などにかかわってきた。藤木(5〜7章執筆)は、数多くのマンションで劣化診断と大規模修繕を手がけてきた。本書は、その経験を豊富にもりこみ、血の通ったマンション住まいの入門書をめざしたものである。

 小林はコンクリート工学を、藤木は建築学を専門とする学者だが、この本はそういう学者たちが、自分の専門とかなり関係があるけれども、実際にはもっと広い課題を含んでいる商品としてのマンションに消費者としてどのように向き合うべきかということを論じた実用的なマニュアルである。大学でワークステーションを使ってきた老教授が、自宅で使っているPCについて論じているようなもので、マンションに住んでいる人には大いに参考になりそうな内容だ。

 まあしかし、なかなか大変そうだ。

2000/3/4

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