日本に恋した台湾人

謝雅梅 / 総合法令 / 00/03/04

★★★★

新しい世代の台湾人によるエッセイ

 同じ総合法令から出ている『東京コリアン純情日記』の台湾バージョンとでも言うべき本。これまで特に意識していなかったのだが、けっこう良い出版社ではなかろうか。ちなみに本書は『月刊スーパービジネスマン』に「台湾走馬燈」というタイトルで連載されていたエッセイを中心に加筆・修正したものらしい。昨年には『台湾人と日本人』という本を出した(未読)。

 『東京コリアン純情日記』と共通するのは、戦後の反日教育の勢いが若干弱まった時期に反日的な教育を受けたが、サブカルチャーを通して経済大国としての日本に触れて「親日的」となった新しい世代の著者が、日本に滞在しながら日本語で書いた本だという点である。著者が女性であるという点も大きな要素かもしれない。性差別的な物言いになるけれども、女性の方がこういう事柄については「素直」に反応しそうだ。韓国人の男性も台湾人の男性も、いろいろと意地を張りそう。あと「日本での滞在」という点でも、女性の方が男性よりも圧倒的に有利な気がする。まあそれはともかく。

 著者の謝雅梅(シェ・ヤーメイ)は1965年生まれなので、『東京コリアン純情日記』の著者、安里よりは、『スカートの風』などの呉善花の方に世代としては近いが、「新世代」の印象が強い。韓国と台湾の違いなのかもしれないし、個人差なのかもしれないが、謝雅梅はかろうじて「新世代」にひっかかっているという感じがある。

 『東京コリアン純情日記』と同じく、気持ちよく読める本だった。全体的に素直と言うべきなのか、著者の精神年齢が若いのか。この人にもどんどんこの手のものを書いてもらいたい。しかし、仮に日本人の若い女性が、英語で書いたこの種の本をアメリカで出版したら、たぶん私は怒るだろうな。きっと同じような感じで怒っている台湾人/韓国人もいっぱいいるに違いない。

2000/3/4

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ