科学事件

柴田鉄治 / 岩波書店 / 00/03/17

★★

何かひとごとのような書き方

 科学技術との絡みで起きた社会的な事件を紹介するという本。取り上げられているトピックは、「脳死・臓器移植」、「薬害エイズ」、「体外受精」、「原子力」、「水俣病」、「大地震」、「クローン羊」である。著者は元朝日新聞社記者で、現在は朝日カルチャーセンター社長。前文には、この種の事件の報道という側面に注目すると書いてあるのだが……

 新聞記者はやっぱりだめだということが改めてわかる本だった。「見識」がないというか、まさに新聞に書いてありそうなレベルの内容。個々のトピックについてちゃんと勉強して掘り下げるか、報道という側面に注目するかのどちらかにすればよいのに、両方とも中途半端でなおかつ無責任。知識のない読者にとっては有害にすらなりかねない本である。

 「新聞」も、今後はインターネット経由での配信が主流になり、記者が行う事実報道記事とジャーナリストや専門家の署名記事が、いまのように1つの固定されたパッケージとしてではなく、個々の記事の単位で提供される仕組みになっていくだろう。そうなったときに初めて、「新聞」もオピニオン・メディアの競争の土俵に登ることになる。それまでは真面目な議論の対象にはならない。だってそうでしょう? 記者クラブの問題なんて、誰ももう論じようとはせず、「いずれはなくなるだろう」と思って放置しているわけで。

2000/3/30

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