怒れ! 日本の中流階級

Bourgeoisie - The Missing Element in Japanese Political Culture

カレル・ヴァン・ウォルフレン / 毎日新聞社 / 99/12/20

★★★

まあふつう

 『なぜ日本人は日本を愛せないのか』などのカレル・ヴァン・ウォルフレンの新作。なんだかんだ言ってウォルフレンを読んでいる自分がかわいい。

 本書は、アグレッシヴな態度をいっそう強め、民主党の宣伝本といっていいようなものになっている。いまだにわからないのは、ウォルフレンが本当に日本人のことをわかっていないのか、それとも戦略的な態度をとっているのかということなんだが。

 相変わらず日本のメディア、特に新聞が駄目だと述べているが、そんなことはみんなわかっている。ウォルフレンは、日本のエリートだけがそのことを知っているという風に考えているようだが、本書のターゲットとなりうるような新しいブルジョアジーに属する人はみんな知っていることだ。『なぜ日本人は日本を愛せないのか』の項でも書いたことだが、日本人の誰がどのていどまでを織り込み済みとして、この「システム」を受け入れているのかというあたりの見極めが、ウォルフレンの場合、どこかずれているのである。これが日本人を「教育」しようとする戦略的な態度であるという可能性はあるし、実際、この戦略的な態度によってこちらが少しばかり揺れることもたしかなのだが、「でもやっぱり野村證券や東京三菱銀行は強いよ」という思いは捨て切れない。そう思うと、よく言われている、日本は転換点が来ると一挙に変わるという命題の意味がよくわかる。逆に言うと、転換点が来るまでは「様子見」をしているわけで、これは実のところ戦略としてはかなり有効なのだ。頑迷な保守ではなく、変わるべきときが来たらすぐに変わる用意があるサイレント・マジョリティーである。

 ちょっと好意的にすぎるだろうか? そうかもしれない。

2000/3/30

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