恐るべきお子さま大学生たち

崩壊するアメリカの大学

Generation X Goes to College

ピーター・サックス / 草思社 / 00/03/24

★★

興味深いんだけど、ちょっときつい本だ

 アメリカの大学生の学力低下を扱った本。『分数ができない大学生』は、日本の数学教育を扱った本だったが、こちらはコミュニティ・カレッジでジャーナリズムやライティングを教えている元新聞記者が書いた本。コミュニティ・カレッジの教育の質の低下の状況を紹介し、ジェネレーションXが大学生となったこの時代に、学生側も大学側も教育の質の向上をはかるための有効な手段を打ち出せないでいる事情を説明し、社会全般の流れとしてアカデミアでの「ポスト・モダニズム」の流行にその原因を見て取る。

 ジャーナリズムを教えている人が「ポスト・モダニズム」を批判するというのも何かおかしい感じがするんだが(あくまでも個人的な感想だが、ジャーナリズムを大学で教えることそのものが「ポスト・モダニズム」の一つの流れに見える)、まあアメリカの大学教育が深刻な事態を迎えているということはよくわかった。もっともこれはコミュニティ・カレッジの話であり、「大学教育」という文脈で見るならば、最も低い階層での話だ。高い階層ではまだちゃんとしている、と言ったところで有益な反論にはならないことはたしかなんだが。

 ちなみに、いろいろと蘊蓄を傾けて論じている部分が、訳書ではばっさりと省略されているようだ。きっと面白くなかったんだろう。翻訳は、あまり英語の得意でなさそうな人がやっている。

2000/3/30

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