お言葉ですが… (4)猿も休暇の巻

高島俊男 / 文藝春秋 / 00/03/01

★★★

ちょっとしんどい

 週刊文春に連載されている「お言葉ですが…」というエッセイを集めたものの4巻目。3巻目は『せがれの凋落』だった。

 やはりあまり良くない。老人が、あまり有用性のない蘊蓄を傾け、「最近の若者は…」と嘆くエッセイの1つになってしまっている。

 152ページの「堪忍袋とカンシャク持ち」では、いわゆる「キレる」という現象が、「堪忍袋の緒が切れる」ではなくむしろ「癇癪」の方に似ているという記述があるが、「逆ギレ」という言葉がある以上、これが「堪忍袋の緒が切れる」の方に近いことははっきりしていると思う。というような具体的な話はともかく、この著者がおそらく「逆ギレ」という言葉を知らないというところに、このエッセイ集の限界がある。

 まあ具体的な話をもう少しすると。たしかに個々の「キレる」には、「癇癪」と表現した方が適切な状況も多々あると思われるが、それが「癇癪」という何か生得的な疾患のようなものではなく、より普遍的な心あるいは脳の中のプロセスとして呼ばれていること、またそのようなプロセスがあることが人々の間で諒解されていることに意味がある。「堪忍袋の緒」が張っているとは思えないような人/状況が「キレた」場合でも、何かが「切れた」ように諒解されるわけだ。

 もちろんこれは『自己コントロールの檻』で論じられている感情マネジメントの文脈で理解するのが正しいだろう。

2000/4/8

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