アメリカ人の中国観

井尻秀憲 / 文藝春秋 / 00/04/20

★★★

興味深いトピックなんだが、ちょっときつい

 タイトルのとおり、アメリカ人の中国観の変遷を描いたもの。『米中奔流』は、もっぱらアメリカの外交戦略に影響を与えるような立場の人々について論じた本だったが、本書はそれよりも影響力の少ない「知識人」の中国観を扱っている。特に文化大革命の評価の激変と、1990年代に入ってから顕著になった新しい米中関係を踏まえての流れについての記述が多い。

 特にテーマとして重要なのは、アメリカ人の中国観に、アメリカ人の自己像が強く影響しているという観点である。『米中奔流』の項で、

今後中国とアメリカの関係が悪化するとしたら、それはアメリカの国内政治の不安定さが原因となって起こると思われ、いくぶん怖い気がしないでもない。おそらくハンチントンはこれに似た不安を心の中に抱いているのだろう。つまり、巨大な民主主義国家の不安定さが、次の国家間の大きな衝突の引き金になるということだ。
と書いたが、そういう発想と整合的である。

 というように、面白そうな題材の本ではあるんだが、実際に読むのはきつかった。あるタイプの文科系の人に特有の言葉遣いと構成。え〜、「たしかにミシェル・フーコーが指摘しているように、うどんに七味唐辛子をかけると、汁を飲みづらくなるのである」というような印象を与える文がやたら多い。別にフーコーに言われなくても、唐辛子は辛いのだ。そんなことみんな知っている。

2000/4/30

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ