スポーツ・エージェント

アメリカの巨大産業を操る怪物たち

梅田香子 / 文藝春秋 / 00/04/20

★★

散漫な印象

 アメリカのスポーツ・エージェントを扱ったノンフィクション。スポーツ雑誌に載るような記事を寄せ集めたような散漫な印象で、個々の事実に興味がある人はいいにしても、そうでない人には何がなんだかわからないのではないかと思う。著者はアメリカ在住のスポーツ・ライターで、実際にアメリカのプロ・スポーツ選手やスポーツ・エージェントに近い場所にいる人だが、それゆえにスポーツ・エージェントという存在に対して分析的な視点を持てなくなっているのではないかという印象を受けた。

 ロバート・ホワイティングの『日出づる国の「奴隷野球」』は、日本のプロ野球批判、アメリカン・スタンダード礼讃という視点から書かれていた本だったが、その立場には賛成しかねる部分が多いにしても、本としてはあちらの方が良く書けている。

 繰り返しになるが、スポーツ・エージェントなるものの存在は、全世界の少年少女たちがナイキを履くことに支えられている。一方、NBAのファイナルの試合が、平均的なハリウッド映画よりも面白いことも事実だ。著者は後書きで、アメリカにアマチュア・スポーツが根づいていることを強調しているが、これが潜在的な(というよりも顕在した)マーケットとして機能したがゆえにアメリカのプロ・スポーツが繁栄し、他の文化とともに海外市場に輸出されたという文脈で理解するのが妥当だと思う。

2000/5/14

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