誰もが知っている単語で話せる日常英会話

小池直己 / 講談社 / 00/04/20

★★★★

役に立つかは知らないが興味深い

 新書版の英会話本。この手の本についてはあまり知識を持っていないので、類書との比較はできないのだが、なかなか面白い。会話の中でカジュアルに使われる決まり文句を並べ、訳をつけ、用例を記載しているのだが、この訳がけっこう踏み込んだものになっている。"Don't give me that."を「とぼけるな」、"We're sunk."を「万事休すだ」、"Over my dead body."を「だめと言ったら、絶対にだめ」などとしている。

 英会話初心者がこういうフレーズを覚えて英会話に役立つものなのかどうか、私にはよくわからない。たとえば、日本語をしゃべる外国人と話をしていて、普通の語彙は貧弱なのに、「べつに〜」とか、「何言ってんだか」とか、「あっと驚くタメゴロウ」などの決まり文句だけを的確に使われたら気味が悪いだろう。

 一方、この本は娯楽小説や映画字幕の翻訳者には役に立つと思われる。まあこの本に載っているぐらいの決まり文句は知っていて当然ではあるんだが、訳例を充実させていって(この本には訳例は基本的に1つしかついていない)データベースを作れば便利なはずだ。映画字幕を見ていると、この分野は一般にきわめて弱く、そのようなデータベースがないために正確さが犠牲にされることが多いように思われる。

 なお決まり文句ではなく、一般的な単語について訳語の検討を加えているのが飛田茂雄の『探検する英和辞典』(草思社)。名著である。

2000/5/14

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