夜が終わる場所

Four Corners of Night

クレイグ・ホールデン / 扶桑社 / 00/03/30

★★★★★

警察小説の傑作

 著者のクレイグ・ホールデンには、他に『リバー・ソロー』と『ラスト・サンクチュアリ』(『この世の果て』に改題)という著作がある。

 少女の失踪事件にのめりこむ、自らの娘を誘拐された経験がある警官の活動を、その幼なじみのパートナーの立場から描く。現代的なスタイルの警察小説であり、ハードボイルド小説であり、バディ小説である。そのいずれとしても非常に優れている。

 たまたま、『死せる少女たちの家』『娘たちは消えた』と、少女失踪/誘拐事件を題材にとった小説を続けて読んだ。出版時期から考えて、長野の少女誘拐/長期幽閉事件に合わせた企画ものではなさそうだが、かなり気味が悪い。これらの本は、『クリスマスに少女は還る』とともに売れ行きを伸ばしているんではないだろうか、といいながら、私もそれに貢献しているわけなのだが。

 『死せる少女たちの家』と『娘たちは消えた』は、どちらもミステリのプロパーの作家が書いたものではなく、どちらかといえば「文芸」指向のハードボイルドなのだが、この『夜が終わる場所』は本格的な警察小説という枠組みもあってか、完成度が高い(ちなみに『クリスマスに少女は還る』は、倉橋由美子/金井美恵子路線のファンタジー小説)。特に、描写の視点を、「中心人物」と言うべき熱心な警官(バンク)のパートナー(マックス)に設定したことで、ハードボイルド小説に特有の臭みを、消えた少女を追いかけるバンクから取り除き、優柔不断な観察者として位置づけられているマックスの方にひっつけたという手法が非常に鋭いと思う。このせいで、読み終わった後でじっくりと考えると、実によくできている話だということがわかるような重層性がある。

 大傑作と言うべきだろう。著者のこれまでの作品も読まなくてはなるまい。

2000/5/27

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