日本の警察がダメになった50の事情

久保博司 / 宝島社 / 00/06/15

★★★★★

警察の内部事情を鋭く紹介する

 別冊宝島Realというシリーズの第1回(のようだ)。ムックの形態をしているが、著者の単独著作のようなので(別冊宝島編集部もクレジットされているが)、取り上げることにする。

 著者は「警察・司法研究所」というものを主宰しているらしい。執筆者紹介には「警察改革に意欲を燃やしている」とあり、多くの著作がある。あまり覚えていないが、『日本の検察』あたりは読んだような気がする。

 本書は、最近の主なトピックを切り口に、警察の現状に関して鋭い突っ込んだ解説を行っている。読みやすさを優先してか、多数の独立したトピックに分かれていて、それらの間で十分に編集が行われていないという印象があるけれども、それが気にならないほど面白い内容だった。提言もきわめて建設的。

 いくつか印象に残ったこと。

 このところ、とりわけストーカー事件への対処の失敗が重なって、警察の不手際を追究するのが流行しているようだが、これは警察に対して民事不介入を求めた戦後リベラリズムに対する反動である。やはり最近流行している学力の低下に関する懸念もこれと似た意味合いを持っていると思われる。

 「キャリア制度の弊害」として語られる問題の裏面としての、ノンキャリアの昇進制度が大卒の警察官に与える悪影響を、著者は重視しているようだ。

 巻末の座談会(実は個別のインタビューをもとに書かれた架空の座談会だが)で、著者は、それまでの部分に書いてきた自らの主張を現職警官に批判させている。著者はかなりの程度、現場の警察官に同情的なスタンスをとっているのだが、この架空座談会では警官に「その態度は生ぬるい」というようなことを言わせているのである。なかなか巧妙。

 著者のオフィシャル・サイト

2000/5/27

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