暗黒の河

River of Darkness

ジェイムズ・グレイディ / 新潮社 / 98/05/01

★★★

大きなスケールで描く冷戦後のスパイ小説

 著者は『コンドルの六日間』の人。最近では『凶弾』という警察小説があった。

 ベトナム戦争時代からイラン・コントラ事件まで、CIAの工作員として長年働いてきた元工作員が、過去の亡霊に追いかけられてアメリカ国内で逃亡する。この元工作員が過去に行ってきた活動の描写がところどころに挟まるのだけれども、この時期の「CIA工作員」なるものがどのような人生を送りえたかという思考実験としてきわめて興味深い。

 また、優秀な元工作員が、どのような理由からターゲットとなりうるか、またその違法な活動を「正当」な政府機関がどのように追いかけるかという点でも興味深いつくりになっている。

 小細工をしない堂々たる作風、というべきか。

1998/5/13

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