だめ連の「働かないで生きるには?!」

神長恒一、ぺぺ長谷川 / 筑摩書房 / 00/05/25

★★★

気をつけろ、裏切られるぞ

 だめな人々の集まりである「だめ連」による本。鶴見済、宮崎学、伊藤比呂美などの人々の対談とエッセイ的な文章の寄せ集め。どうもこの「だめ」は現代日本を語るための必須項目の1つらしいので読んでみた。

 自ら遠まわしに示唆しているが、著者らは10年も経つと、「文化人」としての地位を確立してしまっている可能性があるので注意。

 著者らが言うことはけっこうよくわかるし共感もしないわけではない。そう思う人は、この日本に想像以上に多く生息しているのではないだろうか。「だめ」な人々を普通の人から隔てているのは、思い切ってドロップアウトする勇気なのだが、必要な勇気の量は日本経済の底上げのせいで相対的に少なくなっている。著者の一人は、月12万円で生活していることを自慢しているが、これって年収1万4000ドルぐらい。たしかアメリカの初等公立学校の教師の平均年収ってこれよりも少なくなかったっけ。物価の違いはあるにしても、まだまだ下方修正余地はあるのである。というよりも、「働かないで生きるには」というタイトルがあるわりには、十分に働いているといえなくもないのだ。

 ところで、「だめ」な人々は『それでも新資本主義についていくか』で描かれていたような、「ニューエコノミー」の中で苦しみながらもそれに追いつこうと足掻く人々からさほど隔たっていない。「だめ」な人々の出現は、労働力の流動性の向上という現象の一つの表れなのであると回顧的に理解されるだろう。そもそもこのような状況は、いわゆる「フリーター」なるものが出現しはじめた頃から着々と準備が進められてきたわけだ。当時、そのような人々に「将来どうするの?」と大人は問うていたが、こういう風になるということだ。哀しいことに、あんまり幸せじゃなさそう。

2000/6/9

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