グリーンスパンの魔術

Greenspan Effect, The

デービッド・B・シシリア、ジェフリー・L・クルックシ / 日本経済新聞社 / 00/03/24

★★★★

まあなんというかご苦労さま

 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長のアラン・グリーンスパンの、さまざまな機会における「発言」の断片を収集し、それらがマーケットに与えた影響を分析するとともに、マーケットと直接関係のないような大きな社会問題に関するグリーンスパンの意見を解読しようという試み。

 まあ面白くなくはないんだが、やっぱり、これでいいんだろうかという疑念が生じてこざるをえない。オープンネスとフェアネスをあれほど重視するアメリカの経済が、一人の人間の裁量的な行政、いやそれ以前の、単なる発言に、これほど寄りかかっているというのはやっぱり異常としか思えない。まあ本書でもたびたび指摘されているように、グリーンスパンの判断の材料は、他のすべての人も持っているということが担保となっている、という反論が出るのだろうけれども。

 仮にアメリカの持続的な好景気にグリーンスパンの手腕が大きく影響していたとするならば、そのような「ニューエコノミー」と呼ばれるような経済モデルは、グリーンスパンがいないと(というよりも、一人の人間の発言がこれほどの影響力を与えるような社会環境が存在していないと)成り立たない、という結論が導き出されたりはしないのだろうか? つまり、他の国では再現不能である、と。

2000/6/9

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