NHKのそこが知りたい

NHK広報局 / 講談社 / 00/05/18

★★

まあ穏当な広報文書か

 NHKの広報局が書いた、中学生でも読めるような広報資料。NHKにちょっと関心があったので買ってみたのだが、面白い話はなかった。のど自慢がいつ始まったか、みたいなファクトを押さえるのには役立つ。しかしこういうものは、webページの形で掲載することが必要であり、なおかつそれで十分なんだろう。

 いくつか思ったこと。

 NHKが、ニュース/ドキュメンタリーと、ドラマ/バラエティの両方のジャンルの番組を作っているのは、時代遅れであり、このことが両部門の(他のTV局と比べたときの)競争力を低下させているような気がする。

 まず、NHKはドラマ部門のディレクターを抱える必要はない。社外の「文化的に意義のある作品」を作れそうな人を雇って番組を作れば良いのだ。映画を作るのが困難ないま、作品を作りたくてもなかなか作れないでいる人はいっぱいいる。そういう人に、劇場用映画としてはリスクがありすぎ、Vシネマでは予算が足りず、民放のドラマとしては不適切なものを作ってもらうという方針を徹底すべきだと思う。朝の連続ドラマとか大河ドラマは、たしかに人気があって視聴率も高いのかもしれないが、そういうのは民放に任せればよい。ちなみにどのような人に依頼すればいいのかというと、鈴木清順とか大森一樹とか長谷川和彦あたりのポジションの人を思い浮かべている。もちろん新人や外国人を起用してもいい。

 バラエティ番組は不要。スポーツ放送はぜんぶ民放に任せる。

 その代わり、リソースをニュースやドキュメンタリー番組に注ぐ。現状のNHKの報道番組は、基本的に、放映時間が短すぎるために、費やしているコストの割にアウトプットが少ないという印象を私は受けている。地上波でなくてもよいが、少なくとも1チャンネルをニュース専門チャンネルにするべきだ。そうなったときに、NHKの人的リソースの豊かさが初めて活きてくるはずである。

 このような努力をしていかないと、NHKはマルチチャンネル時代で負け組に入ってしまうだろう。すでにNHKは、ニュース番組ではCNN、自然誌系ドキュメンタリー番組ではディスカバリー・チャンネル、映画/ドラマ関係では映画専門チャンネル、スポーツ番組ではスポーツ専門チャンネル、経済番組では日経CNBCなどと競合しているのだ。たまたま1つの番組が相対的に良いかどうかということ以前に、チャンネルそのものの迫力が弱いのは間違いないし、競合するチャンネルがいずれも有料チャンネルだということになったら、NHKの強制的な受信料方式に対する疑問の声がこれまでよりも多く上がってくるだろう。「ニュース番組とNHKスペシャルには対価を支払っても良いが、朝の連続ドラマとか大河歴史ドラマとかのど自慢に金を払う気にはなれない」というような人は多いのではないだろうか。

2000/6/18

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