警察官の犯罪捜査マニュアル

田中一京 / 青年書館 / 97/06/15

★★

ちょっと異世界の本

 著者は元警察官。日本の警察官は偉いんだという熱い主張の本。

 章のタイトルを見れば内容が想像つくだろう。「日本の警察の真の姿と市民感情」、「凶悪化する犯罪と警察の対応」、「警察に対する犯罪者の策略」、「組織を支える警察官の実態」。めっぽう面白いです。特に、公安による捜査を熱情でもって肯定する文章は(少なくとも僕の守備範囲では)なかなか読めない。

 144ページには次のようなスリリングな文章もあります。「他人の住民票を請求する場合...万一捜査上、警察官の身分を隠す必要があれば、請求に際して役所が請求書の身分を確認するための証明書などを提示させるわけではないから、所定の用紙に必要な事項を記載し窓口に提出すればよい。このとき記載する住民票の請求理由は、免許申請のためとか相続、登記、車両購入に必要なためなど何でもよい」。

 最後の章で、下っ端の警察官が苦労しているのに対し、警察署長が一般に汚いことをやってると告発しているのは評価できる。この人は巡査部長で警官としてのキャリアを終えた人なので、全体のトーンは、なんというか「実際の仕事をする警察官に勇気を持たせよう」という感じで、そのことが逆に、日本の警察官が置かれている状況をあぶりだしているといえる。

 笑える本を探している人にもお勧め。

1998/3/25

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