「アメリカ陰謀論」の嘘

ウォールストリートから読む日本

川井健男 / 宝島社 / 00/06/24

★★★★

リバータリアニズム的な立場からの陰謀論批判

 「マネー敗戦」みたいな言葉に代表される国際経済陰謀論を、リバータリアニズム的な立場から批判する本。吉川元忠の『マネー敗戦』、石原慎太郎の『国家意志のある「円」』、広瀬隆の『アメリカの経済支配者たち』の細かい記述を取り上げて論評している。が、ほとんどの部分はリバータリアニズム的な主張である。

 リバータリアニズム的な立場から国際経済陰謀論を批判するのはきわめて楽である。そもそも、経済主体としての国家の役割を極力小さくすること、あるいは小さく見せかけることが教義なのだから、結局、「国際的な陰謀」を遂行する主体が存在しない、存在していても大きな影響力はないと言ってしまえば反論は終わりだ。私は、「大日本帝国の帝国主義的な振る舞いをちゃんと記述していない日本の教科書は、過去の罪を隠蔽しようという日本のエスタブリッシュメントの陰謀である」と主張する外国人に対して、「いや、日本の学校では教科書をそれほど重視しないんですよ。教師がプリントを作って、それでやっているんです」と反論するが、これと同じである。私はこの反論の妥当性にそこそこの自信を持ってはいるが、同時にちょっとずるいかもという後ろめたさも感じる。

 その他。レーガンの功績は、大きな財政赤字を作り、後に続く大統領(具体的にはクリントン)の手を縛ったところにある、ということらしい。なるほど物は言いようである。

2000/6/24

TRCの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ