盗まれたフェルメール

朽木ゆり子 / 新潮社 / 00/03/30

★★★

情報は多いが散漫な印象

 フェルメールの絵の盗難事件を切り口に、美術品窃盗一般に関する概要を述べている本。情報は豊富だが、散漫な印象。

 ジャンルは違うが、『スポーツ・エージェント』を思い出した。どちらの著者も、それぞれの主題に強い思い入れがあるが、それを一般読者に対してどのように提示すればいいのかがわかっていないのだと思われる。その結果、本人とごく一部のマニアには興味深いかもしれないが、それ以外の人には意味がほとんどない細かい情報が整理されないまま記載されることになる。細かい情報も、整理されていれば意味を持ってくるかもしれないし、文章力に支えられていれば関心を呼び起こす可能性があるのだが。

 私はどちらのジャンルにもそこそこの興味を持っているので、情報が無意味だとは感じなかったが、大幅なエディティングを行えばずっと面白い読み物になっただろうとは思った。

2000/7/15

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