「知」の欺瞞

ポストモダン思想における科学の濫用

Fashonable Nonsense: Postmodern Intellectuals' Abuse of Science

アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン / 岩波書店 / 00/05/24

★★★★

思ったよりも穏当

 ポストモダン思想をおちょくったパロディ論文で物議を醸したアラン・ソーカルによる、現代詩における科学用語の濫用を批判する本。扱われている現代詩は、ラカン、クリステヴァ、イリガライ、ラトゥール、ボードリヤール、ドゥルーズ、ガタリ、ヴィリリオなどである。

 批判の焦点はもっぱら「科学用語のコンテキストから外れた濫用」に絞られており、その範囲では反論の余地がないと言ってもいいと思うが、それだけにかえって詩の言葉遣いに文句をつける融通の利かない人という印象が拭えなくなっているという印象があった。害がなければ放っておけばいいと思うんだが、アメリカのアカデミアでのポストモダン思想の流行という切迫した状況がバックグラウンドにはあるようだ。

 これらの著作家の具体的な文章を引いての批判の合間に、第4章では認識的相対主義、第7章ではカオスなどの「ポストモダン科学」、第11章ではゲーデルの定理の、哲学/思想/社会科学への敷衍のしかたに対する批判的検討/警告があり、これらは何というか「普通の科学者」が持つような穏当な科学観の要約として役立つ。

 ソーカルのサイト

2000/7/15

TRCの該当ページへ

amazon.comの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ