仮面の国

柳美里 / 新潮社 / 00/05/01

★★★★

内容はともかくその姿勢にはからずも感動

 1997年に『新潮45』に連載されたものを1998年に単行本化したものの文庫化。時事的な話題を取り上げているエッセイ集である。

 いろいろとネガティブな方向で人の口に昇ることの多い著者で、私もこの人の小説はちょっとだけ読んで投げ出したクチだが(本のタイトルは忘れた)、このエッセイ集にははからずも感動してしまった。その主張が正しいとか、それに共感できるとかいうのではないが、その迸るような文体が「作家」を思わせるのである。いったんそう思ってしまうと、主張の不整合とか飛躍などが魅力的に思えてくるからこまる。タイプはずいぶんと違うとはいえ、昔の林真理子とか中野翠などに似ていて、同性の評判はむちゃくちゃ悪いんだろうなと思いつつも。うーむ、困ったものだ。

2000/7/15

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