二十一世紀 日本の国家戦略

中曽根康弘 / PHP研究所 / 00/07/21

★★

まあねえ

 中曽根康弘が日本の国家戦略を語り、自慢話をする本。とりたてて驚くような話は載っていない。なお、第7章「日本の教育改革」に「学者との教育対話」というものが収録されていて、これに西部邁、松本健一とともに、『地球学』の松井孝典が参加している。そういえばその昔、「中曽根のブレーン」なる表現がよく使われていた。

 最近、「IT革命」なるものにご執心の森首相が、自らITに慣れ親しむために、マウスの使い方から勉強を始めたと報道された。「首相がマウスの使い方の勉強を始めた」ことを宣伝することが、日本の「IT革命推進運動」に対してポジティブな影響を与えると考えることそのものが絶望的にバカである。中曽根康弘はそこまではバカではなく、本書の内容も(細かいところではいろいろとケチもつけたくなるが)そこいらのブレーンから吹き込まれたと思しき、そこそこ妥当なテクノロジー観を展開している。しかし、政治家がこういう平凡なテクノロジー観を披瀝することにどのような意味があるのかという問題は残るだろう。かといって、あまりにビジョナリーっぽい空想を語られても困ってしまうわけで難しい。

2000/7/21

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