サイエンス21

Visions: How Science Will Revolutionaize The 21st Century

ミチオ・カク / 翔泳社 / 00/04/30

★★★

スリリングで楽観的な科学技術の未来予測

 スーパーストリング・セオリーの権威であるミチオ・カクが、細かいリサーチをもとに、21世紀の科学技術の進歩と、それに伴う社会の変化を予測するという話。現在の状況からどこまで外挿できるのか、みたいな議論をしっかりとやっているので、この手のものにしては本格的な部類に入るのだろう。扱っている分野は幅広いが、量子革命、コンピュータ革命、バイオ革命という3つの柱を立て、この3つのテクノロジーのシナジーが進むにつれて大きな変化が起こるという視点に重点が置かれている。きわめて楽天的な科学楽観主義なので、読んでいて気持ちがよい。

 本書では、2020年まで、2020年から2050年まで、2050年以降の3つ時代に分けて考察を行っている。この2020年までの時代は、現在のテクノロジーをベースにしてだいたいの予想がつくが、2020年以降については、今後発見されるであろう新技術をもとにしたブレークスルーが必要である。

 この2020年までの期間は、1980年代頃から始まっていたコンピュータ革命の延長線であると考えられるだろう。科学技術の進歩は社会にゆっくりと入ってくるわけだが、社会の本格的な変貌はこれから始まると考えられる、というのが世の中で言っている「IT革命」なるものなんだなぁといまさらながら思った。個人的に2000年までの期間を経験して、コンピュータ技術の進歩はそれほど大したものじゃなかったという印象があるので、「IT革命」なんて言葉をバカにしがちなのだが、これから本当に凄いことが起こるのかもしれないんだなあ、そういう変動の兆候を目撃できるまでは生きていたい、と前向きな気持ちになれる本ではあった。

 なお、この本の翻訳はよくない。

2000/7/28

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