アップサイジングの時代が来る

ゼロエミッションと雇用の創出

Upsizing

グンター・パウリ / 朝日新聞社 / 00/07/05

★★★

マネジメント本だった

 著者は東京国連大学学長顧問として日本に滞在した間、「ゼロ・エミッション」構想を提唱して世界の注目を集めた人だそうだ。本書の「アップサイジング」とは、原材料や中間廃棄物を有効に活用できるように製造工程を変更することを指す。具体的な事例は原材料を生産しているプランテーションを対象にしたものが中心で、そのようなプランテーションを抱えている発展途上国は、アップサイジングによって、自然に対するインパクトを抑えながら、より多くのお金を儲けられるようになると主張し、説得するのが目的である。滞日経験を反映して、日本の企業に関する記述が多い。いちおう日本はゼロ・エミッションの分野での先進国らしい。

 まあそういうわけで、外見からはわからなかったが、これは「マネジメント本」であった。具体的なプロセスの話には興味深いものもあったが、その背後にある哲学・思想を語る部分が非常にあやふやで、まあ要するにこの著者は「実務の人」だということなんだろう。ゼロ・エミッションを追求することによって利潤と競争力が向上するという議論は、戦略的には有効だと思われる。

 著者が重点を置いている発展途上国のプランテーションに限れば、現状の製造工程がおそろしく非効率的なので、投資機会があるよ、というだけの話のような気もする。

2000/7/28

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