黒い薔薇

Gone, But not Forgotten

フィリップ・マーゴリン / 早川書房 / 98/05/10

★★★

読み出したら止まらないが、読み終わるとがっくりくる

 著者は『封印された悪夢』、『氷の男』を書いた人。原題の"Gone but not forgotten"は、女性が誘拐された後に残されている紙に書かれたメッセージ。

 主人公の弁護士は、悪人に弁護を依頼され、真実を知るにつれて、職業倫理とそれ以外の倫理との間に挟まれて悩む。だが、このジレンマがストーリーの軸になることはなく、むしろ都合のよい展開によって解消されてしまう。たしかにこの小説は意外な展開に満ちたpage turnerだが、意外な展開のおかげでストーリーに埋めこまれていると思われた仕掛けそのもの(上述のジレンマがその一例)が無効になってしまっている。だから読み終えた時点で怒る人もいるのではないかと思う。

1998/5/22

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